酔っ払いはなぜホームに落ちるのか

酔客の線路転落、6割は「直行」…JR西が分析

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駅のホームから転落する酔客のうち6割は、ベンチから突然立ち上がるなどして、線路に向けて一直線に歩いていることが、JR西日本の調べでわかった。転落する客の多くには前兆行動があることも判明。花見などで飲酒の機会が増える時期、JR西は結果を予防策に生かす方針だ。

国土交通省によると、2013年度、ホームの乗客が絡む人身事故は全国で221件起き、10年前から倍増。そのうち酔客は約6割を占めている。

そのため、同社の安全研究所(大阪市)が、同社と大阪市営地下鉄で起きた酔客が絡んだ転落・接触事故56件について、ビデオ映像で分析した。

 

その結果、ベンチに座っていたり、柱にもたれたりしていた客が突然真っすぐ線路に向かってホームを歩き出し、落ちる例が33件。ホーム端で立つなどしていた酔客がバランスを崩す例が17件で、ホームの端を歩いていて足を踏み外すケースは6件だった。

ベンチに座っていた客の事故例が多いことを重視したJR西は1月、新大阪駅のベンチを、線路の向きと直角になるよう置き換えた。ホームの狭い駅では通行の邪魔になるため、今後はホームの広い駅を中心に、置き換えを進めるという。

調査では、転落前の動きが確認できた46件中41件で、転落前に「上半身を前後に揺らす」、「千鳥足」、「柱や壁にもたれかかる」などの危険信号があることもわかった。JR西は駅員向けのハンドブックにこれらの動きを示し、該当客に声をかけるよう求めている。

 

このほか、今年夏に大阪環状線京橋駅で導入を予定する乗客の異常行動を検知して、警報を鳴らす映像システムに、「上半身を前後に揺らす」などの動きのデータを登録する。

転落事故の場合、動き出してから落ちるまで数秒しかないケースが大部分だが、JR西は「混雑したホームでも転落しやすい乗客を事前に把握でき、駅員が注意すべき人を見つけやすくなる」としている。

 

―出典― 読売新聞

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